瑕疵担保責任
個人間の通常の不動産売買での件
買主(個人)売主(個人)不動産業者(媒介)
例) 当社は媒介業者で、築18年経っている戸建物件の個人間売買で、特約に「売主は瑕疵担保責任を負わない」という内容の物件でした。
契約後を終え物件の引渡も終了し、買主がお風呂場のリフォームに入ったところ、内部の木部の腐蝕(一部白蟻によるもの)があり、結果として風呂場全体の大規模修繕と言う結果に。
原因は、リフォーム業者によれば、過去の雨漏りによるものだということで、建物の内外装の状態からは、一部最近行ったと思われる雨漏りの修理跡が見受けられるものの、内部の木部の腐蝕までは予測がつかない状況である。
1.
このような場合、「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約の効力はどうなるか。
2.
買主は、売主に対し、修理にかかった費用の一部でも請求したいと相談に来ている、媒介業者としてどのように対応すべきか。
1.結 論
(1)
質問1.について 売主が建物内部の腐蝕(隠れた瑕疵)について知っていた場合以外は、特約は有効である(民法第572条)。
(2)
質問2.について 本件のようなケースにおいては、媒介業者として通常の価格査定をしているので、できれば当事者の話し合いの中で円満解決ができることが1番。しかし、それ以上の対応(たとえば、訴訟等による請求)については、原則として、瑕疵担保責任の問題は当事者の問題であるから、当事者の判断に委ねるのが基本となります。
2.理由
(1)(2)について
売主が瑕疵担保責任を負わないという特約が有効な条件は、売主がその瑕疵があることを知らないことが必要、もし知っていたのにそのことを買主に告げていない場合、その特約は効力がありません(民法第572条)。
しかし、売主がその瑕疵のあることを知っていたことの立証は、買主がしなければならないが、その立証をすることは容易ではなく、たとえば過去の雨漏りのとき、壁の中や床下を点検したところ、売主自身も木部の腐蝕や白蟻被害があったことを確認しているというような事実があればともかく、そうでないとすれば、現状の内外装の状況からは、内部の木部の腐蝕までは判らないと言えます。売主に対し、特約の無効を主張するのはかなり難しいという結果に。
なお、本件においては、瑕疵担保の免責特約の効力だけが問題になっていますが、このような免責特約がある場合に、買主が売主の債務不履行(不完全履行)(民法第415条)あるいは不法行為(民法第709条)を理由に損害賠償請求をするということも考えられます。しかし、そのような請求をするには、売主の過失(たとえば、売主が雨漏りを長年放置していた、あるいは、そのために外壁内部の木部や土台の腐蝕を予測することができたのに説明しなかった、など)を立証するなど、高度な法的判断を必要とします。
瑕疵=欠陥
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