所有者不明土地問題
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
皆さんは「所有者不明土地」という言葉を聞いたことがありますか?
実は、この問題は私たちの身近なところで起こっている、社会的にも重要な問題なのです。
所有者不明土地問題とは?
所有者不明土地問題は、相続が繰り返される中で相続登記が行われずに放置された土地が増加し続けている状況から発生しているものが多いです。
相続が原因で所有者が不明となるケース以外にも、登記の不備や記録の紛失など、他の理由によっても所有者不明土地は発生します。
国土交通省の推計によると、所有者不明土地の総面積は約410万ヘクタールに上り、これは東京都の面積の約11倍で、九州よりも広い面積に相当します。
このような状況が生じる背景には、高齢化や都市部への人口集中により地方の土地が放置され、所有者が不明になるケースの増加、相続によって複数の相続人が出現し、土地の利用計画や管理について合意に至らず、土地が放置されるケースの増加などがあります。
なぜ問題なのか?
所有者不明土地問題が社会的な課題となっている理由は主に以下の通りです。
①土地の有効活用の阻害: 所有者が不明であるため、土地を公共事業や災害復興などの目的で利用しようとしても、手続きが進まず、土地が有効に活用されないことがあります。
②財政的な問題: 所有者が不明である土地に対して固定資産税が徴収できないため、地方自治体の財政に影響を及ぼす可能性があります。
③法的な紛争: 所有者不明の土地を巡る法的な紛争が発生することがあり、地域社会におけるトラブルの原因となることがあります。
具体的には、新しいバイパス道路の建設予定地の一部が所有者不明の土地であったため、裁判所への申立等手続きが必要となり計画が遅延し、多額の追加費用が発生したり、
所有者不明の空き地が不法投棄の場所として利用され、近隣住民からの苦情が寄せられ、地域社会の安全と秩序を阻害する問題となったりしています。
所有者不明土地問題への対策
政府はこの問題に対処するために、所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法を2019年に施行しました。
この法律により、所有者不明の土地でも一定の条件の下で利用が可能となり、社会的な機会損失を防ぐことが期待されています。
さらに、相続登記の義務化、相続人申告登記制度の創設、住所等の変更登記の義務化、所有不動産記録証明制度の導入など、問題の根本的な解決に向けた法改正も進められています。
所有者不明の土地の利用とは?
所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法により、所有者不明の土地でも一定の条件の下で利用が可能となりました。以下にその概要を説明します。
①土地利用計画の策定
利用を希望する者は、土地の利用計画を策定し、関連する自治体や地元の住民への説明、意見の聴取などを行います。対象事業は法律で決められており、都道府県知事が公益性等を確認します。
②利用申請
利用計画が策定されたら、それをもとに土地利用の申請を行います。この申請は、自治体が行う場合もあれば、民間企業や個人が行う場合もあります。
③審査と承認
申請された利用計画は、関連する自治体や専門家による審査を受けます。この審査を通過し、承認された場合に限り、土地の利用が可能となります。
④利用開始
承認された利用計画に基づき、所有者不明の土地の利用が開始されます。利用の内容は、公園や駐車場の整備、災害時の避難所の設置、農業や再生可能エネルギーの発電施設の設置など、多岐にわたります。
⑤利用期間と条件
土地の利用は、一定の期間内で行われます。また、利用には条件が付される場合があり、利用期間終了後は土地を元の状態に戻すなどの義務が課されることもあります。
この特別措置法により、所有者不明の土地が有効に活用されることで、地域社会の活性化や公共の利益に寄与することが期待されています。
相続登記の義務化、不動産登記制度の見直しについて
不動産登記制度が見直され、相続登記や住所等の変更登記の申請が義務化されました。
これは、所有者不明土地問題の解決と、登記情報の正確性向上を目的としています。
相続登記の義務化では、相続により不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請をしない場合、10万円以下の過料が課せられます。
相続人申告登記制度では、相続人が遺産分割に合意できず相続登記を申請できない場合、相続人としての申告登記を行うことで、相続登記の義務を果たすことができます。
これにより、相続人が簡易に手続きを行うことが可能となります。
住所等の変更登記の義務化では、不動産の所有者が氏名や住所を変更した場合、変更した日から2年以内に登記を申請する必要があります。
正当な理由なく申請をしない場合、5万円以下の過料が課せられます。
その他の新たな制度として、以下のものがあります。
所有不動産記録証明制度: 親が所有している不動産を調べることができる制度
情報連携による住所等の自動反映: 他の公的機関との情報連携により、登記名義人の住所等が変更された場合に自動的に不動産登記に反映される仕組み
DV被害者等の保護: DV被害者等を保護するため、登記事項証明書等に現住所に代わる事項を記載する特例
これらの見直しにより、不動産登記情報の正確性と透明性が向上し、所有者不明土地問題の解決に向けた一歩が踏み出されました。
「相続土地国庫帰属制度」とは?その要件と費用。
所有者不明土地の発生を予防するため、土地を相続した人が、不要な土地を手放すための制度、相続土地国庫帰属制度が令和5年4月に施行されました。
この制度は、所有者不明土地問題の解決に向けた一つの手段として注目されています。
国庫帰属制度では、全ての土地が引き渡しの対象となるわけではありません。
以下のような土地は、通常の管理や処分に多くの費用や労力が必要となるため、対象外となります。
1.建物がある土地
2.担保権や使用収益権が設定されている土地
3.他人の利用が予定されている土地
4.特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
5.境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
6.一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
7.土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
8.土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
9.隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
10.その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
また、申請・承認には費用がかかります。
申請時には、1筆の土地当たり1万4000円の審査手数料が必要です。
承認されると、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金を納付します。
負担金は基本的に1筆ごとに20万円ですが、隣接する同じ種目の土地については負担金の合算申出が可能です。
一部の市街地の宅地、農用地区域内の農地、森林などについては、面積に応じて負担金を算定する場合もあります。
引き渡せる土地の要件、費用ともに厳しいものがあり、簡単に利用できる制度ではありませんね。
所有者不明土地問題への対策は、土地の有効活用を促進し、地方自治体の財政を安定させ、法的な紛争を減少させることを目指しています。
しかし、この問題は長年にわたって蓄積されてきたものであり、その解決には時間と労力が必要です。
まとめ
所有者不明土地問題は、相続登記が行われずに放置された土地が増加し続けることによって発生し、日本社会において重要な課題となっています。
この問題に対処するため、政府は2019年に所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法を施行し、相続登記の義務化や不動産登記制度の見直しを進めています。
これらの対策により、所有者不明の土地の有効活用が促進され、地方自治体の財政安定や法的な紛争の減少が期待されます。
しかし、問題の解決には時間と労力が必要であり、引き続き対策の推進が求められています。
所有者不明土地問題への取り組みは、土地の価値を最大化し、持続可能な社会を実現するために重要です。
私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、適切な手続きを行うことが、解決への第一歩となるでしょう。
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