サブリースで安心??実は起きているトラブル事例
サブリース契約について。
通常の賃貸借契約同様、借地借家法28条適用
不動産管理会社等が、転貸を目的として所有者から建物を借り上げる契約のことを、サブリース契約といいます。
空室対策目的などによるサブリース契約の増加に伴い、所有者とサブリース会社でトラブルが発生するケースが増えています。
トラブル発生の例
今回の事例のように、所有者がサブリース契約を期間満了により終了させたいと思っているにもかかわらず、サブリース会社が応じてくれないというのもトラブルの1つです。
ここで問題となるのは、①サブリース契約にも借地借家法が適用されるのかという点と、②借地借家法が適用される結果として更新拒絶には正当事由が必要となるがその判断基準は通常の賃貸借契約と同様であるかという点です。
①②の点について参考になるのが、サブリース契約が期間満了により終了するかどうかが争われた裁判例です。
これは、所有者がサブリース契約の更新を拒絶して、期間満了によるサブリース契約の終了を主張したのに対し、サブリース会社は当該更新拒絶には正当事由がないとしてサブリース契約の終了を争った事案です。
判決内容
まず、前提として借地借家法上、正当事由がない限り更新拒絶は認められず、期間満了によっても賃貸借契約は終了しないとされています(借地借家法28条)。この場合、賃貸借契約は期間の定めがないものとして存続することになります(同法26条1項)。正当事由の有無の判断においては、当事者双方の使用の必要性に関する事情が最も重要な要素とされ、その他の立退料の提供の申出等は従たる要素として考慮されるにすぎません。
そして、①の点につき、裁判所は、サブリース契約にも借地借家法の適用があり、正当事由なしに更新拒絶はできないと判断しました。なお、最高裁平成15年10月21日判決でもサブリース契約に借地借家法の適用があると判断されており、今後もサブリース契約に借地借家法が適用されるとする裁判例が続くだろうと予想されます。
その上で、②の点につき、裁判所は、本件の事案においては、サブリース会社が建物を使用する必要性に比べて、所有者が建物を使用する必要性は低いといえるから、立退料の申し出等の事情を考慮しても所有者による更新拒絶に正当事由があるとはいえないと判断し、期間満了によるサブリース契約の終了を認めませんでした。裁判所が、更新拒絶の有無の判断にあたり、サブリース契約であっても通常の賃貸借契約と同様の判断基準を採用している点は実務上重要です。
トラブル0への対策
この裁判例を参考にすると、事例の場合でも、正当事由がない限り、更新拒絶によりサブリース契約を終了させることは難しいと考えられます。サブリース会社の信用性に不安がある等の理由から、期間満了でサブリース契約を終了させたいと考えた場合、サブリース契約をあらかじめ定期借家契約にしておく等の対策をしておいた方がよいでしょう。
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