マンション管理組合のお金の管理
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
先日、埼玉県のマンション管理組合の口座から、1200万円が横領される事件がありました。
逮捕されたのは、管理会社の元部長で、横領したお金を高級クラブや旅行で使っていたそうです。
逮捕された容疑は、2016年から2018年にかけての横領で、他にも1000万円以上余罪があるとみて捜査されているようです。
マンションという共有財産を守るための大切なお金が、なぜこのような被害に遭ってしまうのでしょうか。
過去にも同様の事件は多数起こっています
マンション管理組合の積立金などのお金が横領される事件は、過去にも起こっています。
2007年、管理会社には委託せず自主管理を行っていたマンション管理組合で、10年以上会計を担当していた理事が、約5500万円を横領。
マンションの総会は年1回、日曜の夕方という比較的集まりやすい時間にきちんと開催されていたのにも関わらず、役員以外の参加は少なく、住人の半数以上が委任状を提出し総会には参加せず、任せきりの管理になっていました。
事件が発覚した年の総会で、組合員の1人が、会計報告の数字と通帳の残高が合っているか見せてほしいと言った事をきっかけに、事件が発覚したそうです。
管理会社による横領も多数あります。
2015年西日本エリアで300棟以上のマンションと150棟以上のビル・施設を管理していた管理会社で、複数の従業員がマンション管理費を横領し、被害総額2億3000万円となる事件も起こりました。
この事件では、従業員が、入居者から管理費として預かった現金を口座には入れず、会計書類を偽造したり理事会に未入金と報告することで、着服を行っていました。
事件を起こした会社は、最終的には他の大手管理会社に吸収、合併されています。
その他にも、
管理組合と個人契約を結び管理組合の通帳の管理や経理事務を行っていた年配の女性が、管理費や修繕費など約2億1千万円を着服し逮捕
管理会社の社員が口座の残高証明書を偽造し19の管理組合から計8000万円を着服
元公認会計士のリゾートマンションの管理組合理事長が、16年間にわたり11億7800万円を着服
管理組合元理事長と元会計が、管理費など2230万円を着服
首都圏でビル管理を行っていた会社が、50の物件で合計約1億8千万円を、会社の運転資金に使い込んだ後に倒産
マンション管理会社社員が複数のマンションで、修繕工事の架空発注を行い約1億8千万円を横領
調べればいくらでも出てきます。
マンション管理組合と、管理費・修繕積立金
マンション管理組合は、共同所有物であるマンションや建物の管理・運営を行うために設立される組織です。
管理組合は、区分所有者(マンションの所有者)から集められる管理費や修繕積立金などの収入を適切に管理し、マンションの維持や修繕、共用施設の管理などに充てる役割を果たします。
管理費は、「通常の管理に要する経費」に使われるお金で、マンションの区分所有者が毎月支払うものです。
「通常の管理に要する経費」は、標準管理規約では、
①管理員などの人件費
②管理組合が支払う税金等
③共用施設、例えばエレベーターなどの保守維持費や運転費
④備品や通信費、事務費
⑤共用部分の火災保険料や地震保険料、損害保険料
⑥日常的な修繕費、例えば照明の部分交換や水漏れ事故の応急的修繕
⑦清掃費、ゴミ処理費
⑧委託業務費
⑨専門的知識を有する者の活用に要する費用、例えば建築士や弁護士・マンション管理士への業務委託費
⑩管理組合の運営に要する費用、例えば役員活動費
⑪その他32条に定める管理組合の一般的な業務に要する費用
とされています。
修繕積立金は、「特別の管理に要する経費」に使われるお金で、将来的な大規模修繕や建物の老朽化に備えるために積み立てられる資金であり、長期的な維持管理や修繕工事に使用されます。
「特別の管理に要する経費」とは、標準管理規約では、
①一定年の経過毎に計画的に行う修繕
②不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
③敷地・共用部分等の変更
④建て替え及びマンションの敷地売却にかかる合意形成に必要となる事項の調査
⑤その他敷地・共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
とされています。
管理組合のお金の管理
管理組合の収支決算案や収支予算案は、まず理事会で決議されます。
理事長は収支予算案を通常総会に提出し、そこで承認を得なければなりません。
また、収支予算の変更があれば、その案を臨時総会に提出してその承認を得なければなりません。
通常総会は新会計年度開始後2ヶ月以内に招集されますので、例えば3月31日締めで4月から新会計年度が始まる管理組合では、通常総会は4-5月中に開催されます。
総会は、管理組合の最高意思決定機関です。
定足数、つまり、そもそも総会が成立するために必要な出席人数は、議決権総数の半数以上を持つ組合員の出席です。
(同じマンション内で2室以上持っている人もいるので、単に組合員の人数の半数以上とはなりません。)
出席と言っても、会議の場へ行かなくても、委任状を提出すれば出席したことになります。
委任状には、
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
私は、令和5年4月○○日(日曜日)開催の通常総会において、以下の議案につき、
1.総会議長 を代理人と定め、
2.○○号室 □□△△氏を代理人と定め、
議決権を行使することを委任します。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
などと書かれ、大体の人が1の総会議長に○をし、署名捺印し、議決権を委任することが多いのが現状です。
こうして、ほとんどの方が会議には来ず、議長へ賛否を任せきりにした会議が開かれ、理事会の思う通りの議案が通り、理事会が好きなようにお金の使い道を決めることができるのです。
投資用のワンルームマンションでは、総会への出席者がほとんどおらず、理事長だけだったなんて事もあるそうです。
管理組合の役員には、理事長、副理事長、会計担当理事、理事、監事があります。
理事は、組合員の内から10~15戸に1名、通常総会で選任します。
その選任された理事の役割分担については、理事会で、理事長や副理事長、会計担当理事などが決められます。
監事は、理事会組織とは独立し、理事会が間違ったことをしないか監査する立場なので、理事とは別に通常総会で選任します。
理事は、管理組合に著しい損害を及ぼす恐れのある事実を発見したときは直ちに監事に報告しなければなりません。
また、監事は管理組合の業務や財産の状況を監査し、総会に報告しなければならず、監査の実効性を高めるために、いつでも理事などに業務の報告を求めることができ、不正があれば臨時総会を招集することができます。
理事や監事は、総会で解任の決議をすることもできます。
このように、健全な管理組合では、理事会や監事、管理組合が監視監査しあうことで、適切な財産管理がなされるような仕組みになっています。
総会は、管理組合の最高意思決定機関であり、健全なマンション管理のために、組合員の役割も大きいです。
役員ではない区分所有者も無関心にならず、管理組合のお金の使い方やマンション管理の方法に関心を持たなければなりません。
会計担当理事1人が、通帳や印鑑・キャッシュカードを持ち続けていないか、監査では通帳の原本も確認されているのか、気にかけて下さい。
通帳や印鑑は金庫などの鍵のかかる場所に保管し、印鑑と鍵の管理を理事長と副理事長に分けるなど、取り扱い方法を決まりにしておくことが望ましいです。
みんながやりたがらない理事をいつも率先してやってくれる人は、本当にその職務を誠実に果たしてくれているのでしょうか。
なにか、自分だけの利益になるようなことをしていないでしょうか。
もちろん正義感を持ち、マンション区分所有者の利益となるように動いてくれている方も多いとは思うのですが、長年やっている理事長の意のままに管理組合が動かされているなんて事はないでしょうか?
管理会社は何をしているのか
先日の事件は、管理会社の部長だった人が逮捕されています。
管理会社は管理組合の中でどのような立ち位置になるのでしょうか?
通常、マンションの組合員(区分所有者)の多くは日中仕事や家事をしており、マンション管理のために多くの時間を使うことはできません。
また近年、マンションの高層化・大規模化などにより、管理が高度で複雑になってきており、組合員の力だけで管理していくことが難しくなっています。
そこで、建築や設備、法律の知識を持つ管理会社やマンション管理士、弁護士、司法書士、建築士などの専門家が、管理組合の運営に携わることが増えてきています。
管理会社が実施する業務は、管理組合の会計、収支予算案の作成や報告、管理費の収納や滞納者への対応、通帳の保管や帳簿の管理、維持修繕に関する企画や実施の調整、総会や理事会の支援、設備の点検やメンテナンスなど多岐にわたります。
管理組合と管理会社がどのような契約をしているかにもよりますが、管理組合に入るお金を集めたり、使い道を考えたり、費用を支払ったり、管理組合のお金を動かす業務を多く行います。
マンション管理に関して知識のない所有者が、マンションの住人全員から管理費や修繕積立金を集金して、支払ってくれない人のところに催促に行ったり、共用部分の宅配ボックスなどが壊れたから業者に依頼して修理してもらって、集めたお金から支払って、年度末には収支報告を作って、次年度の予算案を作る。
管理組合の役員に選出されたからって、こんなことを全部するのは、無理ですもんね。
現在では、約9割の分譲マンションが、管理会社に管理業務を委託していると言われています。
管理会社を上手く使いながら、総会での報告内容などにも注目することが大切です。
健全な管理組合の運営の為にできること
管理組合の運営に興味を持たず、任せきりにしていると、悪意を持った誰かが、皆さんの大切な資産に手をつけてしまうかもしれません。
もちろん犯罪行為は許されることではありませんが、横領や着服などの不正行為をされにくい環境作りはできると思います。
リュックのチャックを全開にして、その中の財布が丸見えの状態で繁華街を歩くのは、危険ですよね。大げさなたとえかもしれませんが、そういうことです。
このような不正行為を防止するためには、管理組合の透明性と財務管理の強化が重要です。
定期的な監査や監視体制の整備、経理業務の厳密な運営、信頼できる専門家の関与などが求められます。
また、マンション所有者の積極的な関与や監視も重要であり、組合活動への参加や問題の報告によって、組合の健全な運営を支えることができます。
マンションは組合員の大切な財産であり、その管理は居住環境の向上や資産価値の維持にも影響を与えます。
マンション管理組合の健全な経営と透明性を実現するためには、組合員同士のコミュニケーションや協力が欠かせません。
自分たちの財産であるマンションの管理に積極的に関わり、組合の活動に参加していきましょう。
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