甲種防火管理者の講習を受けてきました
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
地震雷火事親父。
昔から言われている、世の中の恐ろしく敵わない物を順番に並べた表現です。
日本は地震大国で、2022年の1年間に震度5弱以上の地震が15回、震度1以上の地震は1945回も起こっています。
地震を予防することは不可能で、予測も難しく、恐ろしい災害です。
雷はある程度予測はできるものの、人間がコントロールできる範囲にはないものです。
まあ親父は置いておいて、この中で火事だけが、人の力で防いだり、起こった場合の被害を小さくすることができます。
先日防火管理者講習を受けてきて、学んだこと、考えたことを書いていきます。
防火管理者とは
防火管理者は、多数の者が出入り、勤務、居住する建築物などの防火対象物について、消防計画の作成や防火設備の維持管理などの防火管理上必要な業務をおこないます。
防火管理が義務づけられている防火対象物は、
「多数の者が出入りし、勤務し、または居住する防火対象物で政令で定めるもの」
と消防法第8条第一項に定められています。
例えば、共同住宅や図書館、工場は、収容人数が50人以上で防火管理者の設置が必要となります。
それに比べ、より不特定多数の人が出入りする、劇場や映画館、飲食店は、収容人数が30人以上であれば防火管理者の設置が必要となります。
「避難が難しい人」の出入りが多い、老人ホームや乳児院、障害者支援施設は、収容人数が10人以上であれば防火管理者の設置が必要となります。
過去の火災被害からの学び
防火管理について、このような決まりができているのは、過去の火災被害からの学びがあるからです。
20年以上前に新宿区の繁華街で、飲食店や遊技場がテナントとして入った小規模雑居ビルの火災がありました。
この火災は、死者44名、負傷者3名を出す大惨事となりました。
被害が大きくなった背景には、通報の遅れ、避難経路の遮断、防火戸の不動作、ずさんな防火管理がありました。
火災を最初に発見したのは従業員でした。
その従業員は、店内の客や他の店員には火災の発生を伝えましたが、消防への通報はしていませんでした。
消防が動き出したのは、この従業員が火災を発見してから1時間後、「3階から人が落ちた」という救急要請があってからでした。
これが、通報の遅れです。
この雑居ビルの構造は、屋内階段以外に有効な避難経路はないものでした。
その一つしかない屋内階段の近くから出火したため、避難経路が絶たれました。
防火戸はありましたが、そこにロッカーやビールケースなどの障害物があり、防火戸が有効に閉鎖されず、店舗内に煙や熱気が一気に充満したようです。
このビルは消防署による立ち入り検査で、防火管理者の選任や消防計画の作成ができていないこと、避難訓練の未実施など数々の不備を指摘されていましたが、改善されていませんでした。
ビル所有者やテナント経営者の逮捕
この火災では、建物の設備維持に関する過失だけでなく、防火管理上の過失も問われ、ビルの所有者やテナントの経営者、店長など6名が逮捕され、業務上過失致死傷罪で起訴されました。
最終的な判決内容は下記です。
ビル所有会社の実質的経営者 禁錮3年、執行猶予5年
ビル所有会社の社長 禁錮3年、執行猶予5年
出火元テナントの実質的経営者 禁錮3年、執行猶予5年
出火元テナントの現場責任者 無罪
出火元テナントの店長 禁錮2年、執行猶予4年
同ビルに入るテナントの経営者 禁錮3年、執行猶予5年
防火戸が正常に閉鎖するように維持管理をしていれば死傷者は出なかった。利潤追求を最優先し、防火管理業務を怠ったとして、5名が有罪となりました。
防火管理が適切になされていなければ、実際にビルを使用しているテナントだけでなく、オーナーも責任が問われる場合があるのです。
問題点としてあげられていた具体的な内容は
①地上に通じる唯一の経路の階段部分に、各店舗から出された物品が所狭しと置かれている状態が続いていた
②ビルの煙感知器・熱感知器と連動する非常ベルの電源スイッチが切られていた
③3階の店舗では感知器が二重天井に隠れていた
④防火戸は3階、4階共に、置かれた物品により自動閉鎖に支障を来していた
⑤非常用進入口はいずれの店舗でも大型のビニール宣伝用テントに覆われていた
⑥避難器具が4階の店舗以外には設置されていなかった
⑦排煙窓はいずれの店舗でも外のダクトに塞がれたり、内装などによって開閉ができなかった
⑧消防の立ち入り検査で煙感知器が設置されていないことを指摘されても改善されていなかった
このように、多くの不備がありました。
防火管理者はどうやって決められる?
防火管理者は、管理権限者によって選任されます。
管理権限者とは、防火対象物及び建築物その他の工作物の管理について権限を有するものを言います。
つまり、建物の所有者や賃借人、大きなビルであればその管理する側の代表の社長や理事長です。
50人以上の収容人数の賃貸マンションオーナー、もしくはその管理をしている管理会社の代表は、防火管理者を定め、防火管理上必要な業務を行わせる責任があります。
この責務を果たしていない場合は、消防法令違反となり行政処分等により責任を問われることがあります。
防火管理者が必要な建物では、その建物全体としてだけではなく、全てのテナントで防火管理者の選任が必要です。
防火管理者が行うこと
防火管理者がまず行う仕事は、消防計画の作成と届出で、これが最も大切な仕事だと言われています。
消防計画は、防火管理に欠かせない基本となるもので、火災の発生を防ぎ、もし火災が発生した場合であっても被害を最小限にするために、それぞれの防火対象物に対応した消防計画を作成します。
そして、その消防計画に基づいて、
○消火・通報及び避難訓練の実施
○消防の用に供する設備、消防用水または消火活動上必要な施設の点検及び整備
○火気の使用または取り扱いに関する監督
○避難または防火上必要な構造及び設備の維持管理
○収容人員の管理
○その他防火管理上必要な業務
を行います。
消防計画を白紙から作るのは難しいので、もちろん見本があります。
各市町村のHPなどで、消防計画のひな形や、消防用設備の自主検査のチェック表が公表されています。
それらを参考にして、その防火対象建物に合った消防計画を作成します。
消防については、各市町村で条例などの影響があり、地元で確認するのが確実です。
所有もしくは管理する建物が、防火管理が義務づけられているのかどうか分からないときには、地元の消防署に聞いてみると良いと、講師の方がおっしゃっていました。
分からないときは消防署に聞いてみましょう。
消防法に違反した場合には、すぐに逮捕や罰則と言うことではないですが、違反を長年放っておいたままにすると、使用停止命令が出る可能性があります。
違反を改善するように命令があった場合、従わなければ罰金や懲役など処罰の対象となります。
特に重大違反として扱われるのは、
スプリンクラーや屋内・屋外消火栓、自動火災報知設備の未設置
で、刑事告発の事例もありますし、もし火災になったときには被害が大きくなり、責任を問われることになりますので、早めに是正措置を行いましょう。
防火管理のために、協力し合って安全な環境作りを
ここまで、火災からの学びと防火管理の重要性について記載しました。
防火管理は、単なる義務ではなく、私たちの生活や財産を守るための重要なものです。
防火管理者は、防火対象物の安全性を維持し、火災リスクを最小限に抑えるための責任を負っています。
そしてまた、防火管理者だけではなく、防火対象物の所有者やテナント経営者も同様に責任を負っています。
防火管理は、組織的な取り組みが求められるものであり、単一の個人や部門だけで完結するものではありません。
所有者や経営者は、建物や施設の防火対策を実施し、防火管理者との継続的なコミュニケーションや協力を行うことが不可欠です。
防火管理には、個人や組織の安全意識と行動が必要であり、防火管理者や建物の所有者、テナントオーナー、従業員や住民など、私たち一人一人が、火災リスクに対して真剣に向き合い、協力して安全な環境を築くことが重要だと学びました。
⭐︎☆ 有限会社ワンダーランド☆⭐︎創業:平成2年4月
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