万博と建設費未払い問題~盛況の裏で地元業者が受けた打撃~
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博は、会期中に2500万人を超える来場者を集め、盛況のうちに10月13日に閉幕しました。
しかしその裏側で、万博を支えた地元の建設業者たちが深刻な被害を受けていたことは、あまり広く知られていません。
今回は、万博をめぐる建設費の未払い問題について、確認できた事実をもとに整理します。
1.何が起きたのか
大阪・関西万博では、参加国が独自にデザインし建設する「タイプA」と呼ばれる海外パビリオンがありました。
各国が威信をかけて建設するこのパビリオンは、万博の大きな見どころのひとつでした。
しかし、この建設をめぐって深刻なトラブルが発生しました。
元請け業者と下請けの建設業者との間で、工事費の未払いが相次いだのです。
問題の構造はこうです。
出展国側から工事を一括受注した元請け業者が、実際に施工した下請け業者に対して代金を支払わない——あるいは「工期の遅れによるペナルティが発生しているため支払えない」と主張するというものです。
2.被害の広がり
報道によると、少なくとも11カ国のパビリオンで、元請け業者などとの間でトラブルが確認されています。
下請け業者で未払いを訴えたのは30社以上にのぼるとも伝えられています。
万博開幕が3日後に迫った2025年4月10日。
京都府内の建設会社は、昼夜を問わず作業を続けてマルタ館をぎりぎりで完成させました。
しかしその後、元請けから工事費の一部が支払われないまま時間が過ぎていきました。
施工会社が決まらず工事が遅れ、吉村洋文大阪府知事らの要請で地元の中小企業が引き受けた経緯がありました。
その中小企業が未払いの被害を受けているという現実は、多くの関係者に衝撃を与えました。
3.元請けはどこか
複数のパビリオンで元請けとなり、訴訟を起こされているのは、フランスに本社を置く外資系イベント会社「GLイベンツ」の日本法人です。
マルタ館を施工した建設会社は約1億2000万円の支払いを求めて東京地裁に提訴。
セルビア館とドイツ館を手がけた大阪市内の建設会社は約3億3000万円を求めて提訴しています。
一方、GLイベンツ側もルーマニア館の建設業者に対して「未払いがないことの確認」を求めて逆提訴するなど、複数の訴訟が東京地裁で係争中です。
2026年4月現在、これらの訴訟はまだ解決していません。
4.業者への深刻な影響
未払いが続く中、被害を受けた業者の経営状況は厳しくなっています。
ある建設会社では従業員が1人また1人と辞めていき、これまでと同じ規模で工事を受注することが難しくなっています。
「われわれにとってこれは災害と同じ、大きな事故に巻き込まれた」——当事者の言葉は、問題の深刻さを物語っています。
2025年10月には、被害を受けた業者が与野党の国会議員に直接窮状を訴える場面もありました。
未払いを訴える業者が集まった「被害者の会」も発足しています。
5.行政の対応
万博協会はこうした未払い問題について、「民間同士のトラブル」だとして、立て替え払いや資金繰りの支援などはできないという姿勢を示しています。
吉村大阪府知事も「民民の問題」として、行政が介入することには慎重な立場です。
しかし、元々は府知事らの要請で引き受けた地元の中小企業が被害を受けているという経緯を考えると、行政の対応に疑問を持つ声も少なくありません。
6.この問題が示すこと
今回の問題は、大規模な建設工事において元請け・下請けの多層構造がいかにリスクをはらんでいるかを示しています。
特に、外資系企業が元請けとなる場合、下請け業者が代金を回収できない場合のリスクは大きくなります。
万博は盛況のうちに幕を閉じました。
しかし、その裏で現場を支えた人たちが報われないまま時間が過ぎているという事実は、見過ごせないと感じます。
次の記事では、この問題が解体工事市場を通じて、一般の解体・リフォーム市場にも影響を及ぼしている実態をお伝えします。
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