【後編】不動産を「生前贈与」するとどうなるのか~向いているケースと判断のポイント~
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
今回は、生前贈与が向いているケース・向いていないケース、そして「贈与より相続の方が得な場合」の判断基準を整理します。
【前編】はこちら→https://720.co.jp/contents/3355
1. 生前贈与が向いているケース
不動産の生前贈与が有効な場面はどんなときでしょうか。
【将来値上がりが見込まれる不動産】
今の評価額で贈与しておくことで、値上がり分に対する将来の相続税を抑えられます。大阪市内の再開発エリア・駅近物件など、今後の地価上昇が期待できる不動産に有効です。
【家賃収入を生む収益物件】
賃貸物件を子どもに早めに移転することで、その後の家賃収入は子どもの収入になります。相続財産の増加を抑える効果があります。
【特定の人に確実に渡したい場合】
法定相続人以外(孫・内縁の配偶者など)に渡したい場合や、複数の相続人がいる中で特定の一人に渡したい場合、生前贈与であれば意思を確実に実現できます。
【相続争いを防ぎたい場合】
生前に財産を整理・分割しておくことで、相続発生後の揉め事を予防することができます。
2. 生前贈与が向いていないケース
逆に、生前贈与が向いていない場合もあります。
【評価額が高い不動産をそのまま渡す場合】
登録免許税(相続の5倍)・不動産取得税(相続では不要)・贈与税が一度に発生します。これらのコストが相続税を上回るケースがあります。
【相続税がほとんどかからない規模の財産の場合】
そもそも相続税がかからない(または少額で済む)規模の財産であれば、贈与のコストをかける必要はありません。
【渡した後で関係が悪化する可能性がある場合】
一度贈与した財産は基本的に取り戻すことができません。親子間・兄弟間の関係が変化するリスクも念頭に置く必要があります。
3.「小規模宅地等の特例」に注意
相続には「小規模宅地等の特例」という制度があります。
被相続人(亡くなった方)が住んでいた土地や、事業用の土地などを相続する場合、一定の要件を満たすと評価額を最大80%減額できる特例です。
この特例は相続にしか適用できません。
生前贈与してしまうと、この特例が使えなくなります。
例えば、評価額5,000万円の土地を生前贈与すると5,000万円に対して税計算されますが、相続して小規模宅地等の特例(80%減額)が適用されれば、1,000万円に対して相続税を計算できます。
この差は非常に大きいため、「住んでいた土地を子どもに渡したい」という場合は、生前贈与より相続の方が有利になることも多くあります。
4. 配偶者への贈与——おしどり贈与の特例
配偶者への不動産贈与には「おしどり贈与(配偶者控除)」という特例があります。
婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産の購入資金を贈与する場合、2,000万円(基礎控除110万円と合わせて最大2,110万円)まで贈与税がかかりません。
ただし、2019年の民法改正により、この特例を使って贈与した居住用不動産は遺産分割の対象から外れるようになりました(持ち戻し免除)。
配偶者の住む家を守るという観点では有効な制度です。
ただし、登録免許税・不動産取得税のコストは発生します。
また、小規模宅地等の特例との兼ね合いも確認が必要です。
5. 贈与か相続か——判断のために必要なこと
生前贈与と相続のどちらが有利かは、財産の規模・種類・家族構成・相続税の見込み額などによって異なります。
一概に「贈与の方が得」「相続の方が得」とは言えません。
判断するためには、まず現状の財産規模と相続税の見込み額を試算することが出発点です。
相続税がかかるかどうか・どのくらいかかるかによって、生前贈与の効果が変わってきます。
「子どもに不動産を渡したいが、贈与と相続どちらがいいか分からない」という方は、税理士・司法書士・不動産会社と連携しながら検討することをお勧めします。
ぜひ一度ご相談ください。
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