【前編】不動産を売らずに放置するとどんなリスクがあるか〜税金と建物劣化の問題~
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
相続した実家、使わなくなった土地、住まなくなったマンション——「とりあえず持っておこう」と思っていたら、気づいたら何年も経っていた。
そういったご相談を受けることがあります。
「売らなければ損はしない」という感覚は理解できます。
しかし、不動産を放置し続けることには、見えにくいコストとリスクが積み上がっています。
今回はその前半として、税金と建物劣化の問題を整理します。
1. 持っているだけで税金がかかり続ける
不動産を所有しているだけで、毎年固定資産税と都市計画税が課税されます。
収入がゼロであっても、この税負担は続きます。
固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に課税されます。
相続して名義変更した場合でも、売却するまで納税義務はオーナーにあります。
「たいした金額ではない」と思っていても、5年・10年と積み上がれば相当な額になります。
さらに管理費用(草刈り・清掃・定期点検など)も加わると、持ち続けるコストは決して小さくありません。
2. 「住宅用地の特例」が外れると税金は最大6倍になる
一般的に、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用されており、固定資産税が本来の額から6分の1に減額されています。
しかし、建物の管理が不十分で倒壊の危険などがあると、自治体から「管理不全空家」に指定されることがあります。
2023年12月に施行された空家法の改正により、管理不全空家については、勧告を受けた場合にこの特例が解除され、固定資産税が最大で約6倍になる可能性があります。
例えば、年間10万円だった固定資産税が60万円になるという事態が実際に起きています。
「空き家にしておけばいい」という考えは、こうしたリスクをはらんでいます。
3. 更地にすれば解決するわけではない
「税金が増えるなら建物を解体して更地にすればいいのでは」と考える方もいます。
しかし、これは注意が必要な選択です。
更地にすると、住宅用地の特例の対象外になります。
住宅が建っている状態では特例で6分の1に減額されていた固定資産税が、更地にすることで元の金額に戻ります。
つまり、管理不全空家として特例が解除された状態と同じ税負担になります。
建物を解体して更地にするには解体費用もかかります。
解体後も税負担が大きいままであれば、コストだけがかかって収入はゼロという状態が続くことになります。
4. 建物は放置するほど劣化が進む
人が住んでいない建物は、傷みが早く進みます。換気がされないことで湿気がたまり、カビや腐食が進みやすくなります。
雨漏りや外壁の破損もそのまま放置されれば、さらに被害が広がります。
当然ながら、建物の状態が悪化するほど売却価格も下がります。
「少し待ってから売ろう」と思っている間に、建物の価値が大きく損なわれるケースがあります。
また、劣化が進んだ建物は解体費用も高くなる傾向があります。
「今は売る気がない」という場合でも、建物の最低限の管理(定期的な換気・清掃・点検)だけは続けておくことが重要です。
5. 「特定空家」に指定されると強制的な措置が取られる可能性がある
倒壊の危険がある、衛生上有害な状態にある、景観を著しく損なっているといった空き家は、市区町村から「特定空家」に指定されることがあります。
特定空家に指定されると、行政から改善の指導・勧告・命令が出され、それでも対処しない場合は行政代執行(行政が強制的に解体するなどの措置)が取られることがあります。
この場合、解体費用はオーナーに請求されます。
「知らなかった」では済まされない事態になる前に、所有している物件の状態を定期的に確認しておくことが大切です。
次の記事では
放置することで生じる「管理責任」と「売却のタイミングを逃すリスク」について整理します。
また、「とりあえず持っておく」より早く動いた方がいい場合の判断基準もお伝えします。
▶ 後編「不動産を売らずに放置するとどんなリスクがあるか〜管理責任と売却タイミングの話〜」
はこちら→(https://720.co.jp/contents/3304)
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