相続に関わる様々な期限
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
人が亡くなると、様々な手続きがあり、それぞれに別の期限があります。
今回は、相続に関わる様々な期限とその説明を行っていきます。
7日以内:死亡届の提出
亡くなって一番最初に来る手続きの期限は、「7日以内」の死亡届の提出です。
病院で亡くなった場合には、その場で死亡届が発行されます。
A3サイズの同じ紙に、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書となっています。
それがなければ、病院から故人を連れ出すこともできませんし、次の手続きに進めません。
私は病院で働いていたことがあるのですが、その頃、普段は書類仕事を後回しにする医師も、死亡確認後すぐに死亡届・死亡診断書の記載をしていました。
書類を市町村に提出し、埋葬許可をもらい、葬儀・埋葬(火葬)が行われ、故人とお別れします。
このあたりの手続きは、葬儀会社のホームページなどにわかりやすく書かれていますので、そちらを見てもらった方が良いと思います。
3ヶ月以内:相続方法の選択
相続に関わる手続きの代表的なもので、最初に来る期限は3ヶ月です。
相続が始まったことを知ってから、つまり亡くなったことを知ってから3か月の間に、相続方法を決めなければなりません。
何もしなければ自動的に単純承認をしたことになります。
単純承認は、預金や不動産などのプラスの財産と、借金や連帯保証債務などのマイナスの財産も全て相続すると言うことになります。
単純承認では、預金が1億円あっても、借金が2億円あれば、1億円の負債を相続することとなります。
相続方法には、単純承認の他に、限定承認、相続放棄、全部で3つの方法があります。
限定承認では、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぎます。
相続放棄では、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぎません。
この3ヶ月の期限は、死亡を知ってからですので、疎遠になっていて親の死亡を知らなかったなどという場合は、知ってからの期間となります。
銀行等から死亡した親に借金があることの連絡があったとして、それがきっかけで親の死亡を知ったのなら、
そこから3ヶ月は単純承認、限定承認、相続放棄の相続方法を選ぶことができます。
借金の連絡があったにも関わらず、何の手続きもせず放置していた場合には、3ヶ月経過すると自動的に単純承認とみなされ、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぐことになります。
単純相続でよいのか、限定承認や相続放棄をした方が良いのかを検討するためにも、
亡くなった方にどんな遺産があるのか3ヶ月以内に財産調査を終え、
遺言書があるかどうかも確認する必要があります。
生前に、自分の遺産となる財産を文書などにまとめておいてもらえると、残された家族は非常に助かるでしょう。
4ヶ月以内:準確定申告
死亡した方が、2カ所以上からの給与収入があったり、個人事業主であったり、確定申告を必要とする所得を得ていたときは、
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、その相続人が代わりに1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算し、申告と納税をしなければなりません。
これを、準確定申告と言います。
給与所得のみで年末調整で所得税等が精算されている場合は準確定申告は不要なので、
全員が準確定申告をしなければならないわけではありません。
給与所得が2,000万円を超えている、不動産所得がある、土地や建物を売却して譲渡所得がある、1月1日から死亡日までに医療費を10万円以上支払っている等の場合が、準確定申告が必要なケースです。
亡くなった方の収入の事情までよく知っている人でないと、分からないことも多いのではないでしょうか。
10ヶ月:相続税の申告、納付
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。
申告期限までに申告をしなかった場合や、実際に取得した財産の額より少ない額で申告をした場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合がありますのでご注意ください。
相続税がかからない人には関係ない話ですが、相続税のルールが2015年に変更され、相続税がかかる対象者が増加しています。
金融機関とのやりとりに時間がかかることもあるため、早めに手続きを行い、期限を守れるようにすることが重要です。
期限を守らない場合、延滞税や加算税が課される可能性もあるため、注意が必要です。
遺産分割協議が遅れている場合でも、相続税の期限は延長されません。
そのような事情は関係なく、期限を守らない場合、延滞税や加算税が課せられる可能性があります。
遺産分割の話し合いがまとまらない場合、法定相続分で税を計算し、申告と納税を済ませることが求められます。
税務署としては、期限内に税金を払ってもらわないといけないので、法定相続分で納税を済ませて、分け方についてはその後も家族でゆっくり相談して下さい、といった感じです。
相続税の支払いは基本的に現金で行われるため、遺産が不動産ばかりで現金が手元にない場合、納税の資金調達に苦労することも考えられます。
事前の資金計画が重要になります。
1年以内:遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求とは、被相続人による贈与や遺贈によって、遺留分権利者の遺留分が侵害されている場合に、その贈与や遺贈を受けた人に対して、侵害額に相当する金銭の支払いを求めるものです。
遺留分侵害額請求は、「相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年」にしなければ、権利を行使できなくなります。
「相続の開始」と「遺留分を侵害する贈与または遺贈があったこと」の両方の事実を知った時からなので、被相続人の死亡の日にちより後になることも多いでしょう。
被相続人の死後、しばらくしてから、生前贈与の事実を知った場合には、贈与を知った時点から1年となります。
遺留分はすべての相続人に認められているものではなく、被相続人の配偶者・被相続人の子・被相続人の直系尊属(父母または祖父母)に認められているものです。
被相続人の配偶者・子の場合には、遺留分の割合は法定相続分の2分の1、
被相続人の直系尊属(父母または祖父母)の場合には、遺留分の割合は法定相続分の3分の1です。
兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
遺留分侵害額請求権は、その権利を行使することを意思表示して初めて効果が生じます。
具体的には、自分の遺留分が侵害されていることを、財産を取得した人に配達証明付の内容証明郵便を送付するなどして伝えます。
相続が発生し、贈与や遺贈により自身の遺留分が侵害されていることを知って1年以内に、申立書が相手方に届かなければ意思表示をしたとはいえず、権利を行使できなくなりますので、期間に注意し、日にちが分かるような方法で意思表示しなければなりません。
3年以内:相続した不動産の名義変更(所有権移転登記)
相続登記は、相続財産の所有者を公式に記録する登記手続きです。
2024年4月から相続登記の申請が義務化され、相続登記の期限が3年に設定されました。
正当な理由がないのに登記申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。
正当な理由の例としては、
(1)相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
(2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
(3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース など
が挙げられています。
登記は通常、遺産の分割方法が決まった後に行われますが、3年以内にまとめるのが難しい場合には、相続人申告登記と呼ばれる新しい救済措置の仕組みがあります。
遺産の分け方が決まらなくても、相続の開始と自分が相続人であることを申し出れば、申請義務を果たしたとみなされます。
相続人申告登記は、権利の取得を公示するものではなく、他者に不動産の権利を主張するには不十分なものなので、その後の協議で遺産分割が成立したら、その日から3年以内に相続登記を行います。
あまり引き延ばさずに、3年以内に相続登記をする方が、トータルの負担は小さいだろうと言われています。
死亡保険金の請求も、ほとんどの保険会社で3年以内とされています。
保険法では、「保険金請求の時効は、被保険者の死亡から3年」とされており、死亡を知ってからではないのでお気をつけ下さい。
事情によっては期限が経過していても請求ができることもあるようなので、保険会社に問い合わせて確認してみましょう。
10年以内:遺産分割協議(特別受益や寄与分の主張)
遺産分割協議に関する期限は10年以内です。
法律上、遺産分割協議自体には期限がありませんが、10年経過すると特別受益や寄与分の主張ができなくなります。
特別受益とは、特定の相続人が亡くなった人から生前贈与、遺贈、または死因贈与によって受け取った利益を指します。
相続人の中で一部の人が他の相続人よりも特別な形で財産を受け取った場合に、不公平感から、遺産分割における紛争や家族間の対立を起こしてしまう可能性があります。
特別受益がある場合には、相続開始のときに実際に残されていた相続財産の額と合算したうえで、各相続人の相続分を決めなければならないと定められています。
寄与分とは、亡くなった人の療養介護を献身的に続けていたり、財産の維持や増加に貢献したり、「特別な寄与」をした相続人に認められ、認められた分だけ多くの財産を相続できる制度です。
同居の親族は互いに助け合う義務があり、その義務の範囲を超える特別の寄与と認められるのは、ハードルが高く、1-2回の入院の付き添いでは認められず、10年間毎日介護を行うなどの貢献が必要です。
特別受益、寄与分は、相続人たちが納得して公平に相続財産を分けるための制度です。
遺産分割の話し合いが10年以上にわたると、相続人の状況が変化し、話し合いが難しくなることがあります。
相続人のうちの誰かが亡くなったり、記憶が薄れたり、証拠が失われたりする可能性があるため、そうなってくると話をまとめることはどんどん難しくなっていきます。
期限内に、できるだけ長引かせずに合意を形成することが大切です。
まとめ
家族が亡くなると、悲しみだけではなく、様々な手続きや期限に追われ、心身ともに負担がかかります。
期限内に行わなければ、罰則や争いの元となる事もあります。
築いてきた大切な財産を、誰かにスムーズに引き継ぎ、それが元に争いが起こらないように、生前から相続について考えることはとても大切です。
先延ばしにせず、早めに検討し、家族とコミュニケーションで自分の意思を共有し、家族との理解を深めることで、紛争を未然に防ぐことにつながります。
また、相続が起こってから、遺産分割協議の中で、とりあえず不動産を共有にすると言う事は絶対におすすめできません。
不動産に関する問題や、相続についてのお困り事は、ワンダーランドにご相談下さい。
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