サブリース契約をサブリース会社が一方的に解除!?
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。サブリース契約に関する興味深い裁判事例を見つけたので記載します。
以前書いたものは、サブリース契約を解約したいのに、借地借家法ではサブリース会社が借主として守られ、貸主側から解約できないというものでしたが、今回はサブリース会社から一方的に解約された場合のものです。
訴えられたサブリース会社は、レオパレス21です。
レオパレスさんはよく話題に上がる会社ですね。
一括で長期間借り上げるサブリース契約を、突然解除されると、オーナーは見込んでいた収入が得られなくなり非常に困ります。
借り上げ解除による、オーナーへの損害が認定されるのかが争われました。
裁判の内容
オーナーAは、2006年10月に、契約期間を30年間として、レオパレスとの間で建物賃貸借(マスターリース契約)を締結しました。
月額の賃料は127万5400円、契約期間中はその賃料が保証される契約でした。
問題が起こったのは、このオーナーAがレオパレスに批判的な意見を主張するLPオーナー会の活動を陣頭指揮したことからです。
レオパレス側は、信頼関係が破壊されたとして、2020年7月で「建物賃貸借契約の終了について」などの書面をオーナーに送付し、同年11月以降賃料の支払いを停止しました。
当初の契約期間は、2036年9月までですので、15年11月の期間を残しての解約となります。
LPオーナー会とは
LPオーナー会のHPを確認すると、
“株式会社レオパレス21からの関与を一切受けない。オーナーだけで組織された団体”
“LPオーナー会は、レオパレスのオーナー間の情報交流を図り相互に助け合う組織です。”
との記載があります。
LPオーナー会とは、レオパレス21のオーナーだけで結成された、オーナーのための会で、レオパレスの違法建築の被害や、家賃交渉についての資料、契約内容と実態が異なるメンテナンス契約や、オーナー側からの集団訴訟の情報など、様々な情報が公開されています。
レオパレスの問題点が多く掲載されているので、レオパレスに対して批判的な印象を受けます。
LPオーナー会は2014年1月に、今回の裁判に登場するオーナーAが設立しています。
入会金:10,000円、
年会費:半年間で1棟所有者9,000円 2棟以上所有者18,000円
なので、1棟所有している人は入会金1万円と、半年毎に9千円の費用を要します。
レオパレスのサブリース契約のトラブルの報道があったのが2017年ごろ、施工不良が発覚したのが2018年ごろです。
その前からこのような組織が設立されていたのは、もしかしたら、オーナー様が困るような状況が、2014年以前から起こっていたのかもしれませんね。
「レオパレスは少なくとも2012年以降から自らの物件に建築基準法違反が広く存在することを知っていたのでは」と訴えていた議員もいます。
とても興味深い活動をされていると感じましたが、HPの最新のニュースが2023年8月22日のもので、最近の更新はあまりされていないようです。
レオパレスに関するニュースが少ないのか、最近は精力的には活動されていないのかもしれません。
また、Google検索で、「LPオーナー会」と入力すると、
検索候補に「怪しい」「敗訴」なども出て来ますし、この会の活動に批判的なレオパレスのオーナー様もいらっしゃるようですので、必ずしも有益なものではないのかもしれませんが、様々な角度からの情報を得るには1度HPを確認してみても良いのではないでしょうか。
話を今回の訴訟に戻します。
借り上げ解除の損害を認定
レオパレスの借り上げ契約解除を巡る裁判では、二審でレオパレス側に2,730万円の支払いを命じる判決が確定しました。(レオパレスは最高裁へ上告しましたが棄却されました)
裁判では「信頼関係の破壊」が争点となり、
賃借人(レオパレス)からみた賃貸人(A)との信頼関係とは、
賃借人の使用収益を妨害しないことに尽きると判断され、
LPオーナー会の活動はレオパレスが物件を使用すること自体に影響を及ぼすものではなく、信頼関係が破壊されたとは言えないとされました。
オーナーAは、レオパレスとの契約が一方的に解約された後、他のサブリース会社とマスターリース契約を結び、その際に月額賃料がレオパレスとの契約よりも13万6200円低い金額になってしまいました。
損害賠償の2730万円の金額の内訳は、
賃料差額分13万6200円×残りの借り上げ期間(191か月)≒約2600万円
+設備補修修繕費用など約130万円
となりました。
オーナーとサブリース会社の対等関係を
この判決は、サブリース会社の一方的な解除を制限するもので、オーナーとサブリース会社が今後対等な関係を築いていくために、有益な判断となりました。
レオパレス側は、ビジネスパートナーとして対等な関係にあると思っていたオーナーAとの信頼関係は破壊されていたと認識しているため、判決内容は誠に遺憾だが、判決に基づいて対処すると述べています。
もちろん善良なサブリース会社もありますし、サブリース契約を結ぶメリットもありますが、サブリース契約には、様々な問題が起こっているようです。
サブリース契約を既に結んでいるオーナー様は、契約の内容の確認や、今発生している費用や収入が見合ったものなのか確認することを、これからサブリース契約を結ぶことを考えている方は契約内容を十分に確認し、納得できる内容か確認してから契約を行うようにしてください。
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