地震で住居が全壊すると住宅ローンはどうなる?
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
2024年は、年始から大きな地震が起き、被災された方々は大変な思いをされているかと思います。
日本は地震大国であり、いつ自分が住む場所で大きな地震が起こるかもわかりません。
もし、私たちが住む家が地震により倒壊した場合、銀行等から借り入れているローンの支払いはどうなるのでしょうか?
持ち家が倒壊、ローンの支払いは?
もし住んでいる持ち家が、地震により倒壊し住めなくなってしまった場合、新たに住む場所を確保しなければなりません。
家を大規模に修繕したり、新たに建て替えたりするにしても、別の場所で賃貸住宅を借りるにしても、もちろんお金はかかります。
倒壊した家の住宅ローンの支払いが続くと、そのローンの支出に上乗せされて新たな住居費がかかり、とても大きな負担になります。
普通の所得ではとても苦しい、払えないといった状況になるでしょう。
住めなくなった家のローンの残債があることで、新たな借り入れができず、修繕や建て替えの費用が用意できないということも考えられます。
自分に過失がなくこのような状況になっているので、
「ローンの支払いが免除されたりするんじゃないの!?」
という疑問や、希望はよく理解できるのですが、
基本的に被災したからと言ってローンの返済が免除されるということはありません。
これが原則です。
しかしローンを支払いながら、新たな生活拠点についても費用負担がかかってくるのは現実的に不可能です。
そこで、補助金や返済の猶予などの制度があります。
被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援制度とは、
自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給することにより、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的とする。
という制度です。
制度の対象となるのは、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火などの自然現象によって住宅に被害があった場合で、対象になるかどうかは都道府県からの公示を確認する必要があります。
制度が適応になった自然災害により
① 住宅が「全壊」した世帯
② 住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
③ 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
④ 住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)
⑤ 住宅が半壊し、相当規模の補修を行わなければ居住することが困難な世帯(中規模半壊世帯)
に対して、住宅の被害の程度と再建方法に応じて、25~300万円の支援がなされます。(世帯人数が1人の場合は、支給額は4分の3になる)
令和6年能登半島地震による災害について、石川県全域、富山県氷見市では被災者生活再建支援法の適用する旨の報告が出ています。
支援額の一覧を載せておきますので、参考にしてください。
ありがたい制度ですが、全壊した家を再建築するのに300万円ではとても足りません。
ローンの返済猶予や返済方法の変更
自然災害などで自宅が被災し、住宅ローンの返済に困った時には、罹災の程度に応じて、一定期間返済を免除してもらえたり、ローン残高の一部を免除してもらえる場合があります。
借入先の金融機関により対応は異なるようですが、まずは相談してみることをお勧めします。
り災による家計収支の悪化の程度に応じて、返済方法変更のメニューを用意していたり、
罹災(りさい)証明書を提出すれば、当面は返済が一時猶予されたりする金融機関もあるようです。
また、
「地震や台風などの自然災害で自宅に被害が出た場合、住宅ローンの返済の一部が免除される」という内容の特約を、ローンに付加できる金融機関もあるようです。
ローンの返済猶予や返済方法の変更を申し出るには、罹災証明書の提出が必要となります。
震災後の混乱の中、罹災証明書の申請ができていないこともあると思います。
デジタル庁のHPには、
【令和6年能登半島地震】罹災証明書(り災証明書)のオンライン申請について
の記載がありますので、参考にしてみてください。
また、罹災証明書がまだ手元に用意できていない場合でも、借入先の記入機関のHPで情報収集をしたり、返済が滞ったり生活が成り行かなくなる前に、連絡をしてみたりするのもよいかもしれません。
それも難しい場合は、まずは自分の借り入れ状況が分かる資料を用意するか、メモ書きでもよいので書き出して可視化しておくことから始めてみるのがよいでしょう。
しかし、支払いの猶予や返済方法の変更をしても、ローンがなくなるわけではありません。
返済できないことが確実であれば、債務の整理をすることを検討しなければなりません。
その際に活用できる「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」というものがあります。
自己破産・再生手続の前に、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」
法的手続きによる債務整理の方法として、
「破産手続」「再生手続」の2つの手続がありますが、
それらを行うと官報に名前が記載され、個人信用情報として登録されてしまうため(俗にいうブラックリスト)、新たな借り入れをしたり、クレジットカードを作ったりすることができなくなります。
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」は、
自然災害の影響によって、住宅ローン等を借りている個人や事業性ローンを借りている個人事業主が、再スタートをするために、一定の要件を満たした場合に、法的倒産手続きによらずに、自己破産をせずに、債務整理を行うための手続きを取りまとめたものです。
東日本大震災および2015年9月2日以降に災害救助法が適用された自然災害の被災者のうち、その自然災害の影響によって住宅ローンや事業性ローンの返済ができなくなるなど、一定の要件を満たした個人が対象になり得るものです。
このガイドラインに基づく債務整理をすることによって、様々なメリットがあります。
破産手続・再生手続とは異なり、このガイドラインに基づく債務整理の場合には、個人信用情報として登録されない、つまりブラックリストに載りません。
そのため、新たな借り入れにも影響が及びません。
また、国の補助により弁護士等の「登録支援専門家」による手続支援を無料で受けることができます。
債務者の被災状況や生活状況などの個別事情により異なりますが、預貯金などの財産の一部を「自由財産」として残すことができるというメリットもあります。
なお、このガイドラインによる債務整理の手続きを活用できることとなった場合でも、すぐに借り入れがチャラになるのではなく、債務整理の「成立」には、ローンの借入先(金融機関等)の同意や、簡易裁判所の特定調停手続を利用することが必要となります。
このガイドラインの運用基準は非公表とされています。
一部公開されている情報では、2011年8月~2021年3月までに個別の相談は、5980件あり、債務整理の成立件数は1373件とあります。
つまり、相談した人全員が必ずしも、ガイドラインに基づく債務整理をできるわけではありません。
銀行にすればこのガイドラインを利用すると債権を放棄することになり、他の債務者との公平性を担保することや、自然災害があるたびに被災した方の借金を帳消しにしていれば商売が成り立たないこと等もあります。
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを利用した手続の流れ
手続きの方法としては、まず、最も多額のローンを借りている金融機関等へ、ガイドラインを利用した手続への着手を希望することを申し出ます。
金融機関等から借入先や借入残高、年収、資産(預金など)の状況などを聞かれることになりますので、あらかじめ借入れ状況を書き出しておいたり、資料を準備しておきます。
申出を行った金融機関等から手続着手について同意が得られた後、地元弁護士会などを通じて、東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関に対し、「登録支援専門家」による手続支援を依頼します。
手続着手に同意を得られた後も、対象になり得る債務者の要件に該当しないことが判明した場合は、金融機関等から異議が述べられて債務整理不成立となることがあります。
金融機関等に債務整理を申し出て、「登録支援専門家」を経由して、金融機関等へガイドラインに適合する「調停条項案」を提出・説明し、すべての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます。
特定調停手続により調停条項が確定すれば債務整理成立です。
倒壊した家屋のローンの残債は減免され、新しく家を再建するための借り入れも行いやすくなります。
新たな生活のスタートが切りやすくなりますね。
火災保険
災害による損害に備えて、あらかじめ地震保険に入っておくことも大切です。
保険なんて、払い損なことが多いし、もしもの備えだから、金銭的に余裕もないし入ってられない。今手元にお金がなければ、意味がない。という意見もあるかと思います。
保険はあくまで保険で、もしもの時に損害を補うためのものです。
なので、起こっても少額の損害で済むようなものは、保険ではなく貯蓄でカバーしていくものです。
地震や火災のような、発生頻度は低いけれども発生した場合の損失が大きいものは、保険でカバーしていくのに向いています。
しかし地震保険も万能ではありません。
地震保険は単独では加入できず、保険金額は火災保険の30~50%です。
火災保険は、新たに家を建て直せるくらいの額でかけるのが一般的ですので、地震で住宅が倒壊し住めなくなっても、地震保険では建て直すために必要な金額の、30~50%しか手元に入ってこないということです。
地震保険は家を建て直すためにあるのではなく、被災した時に新たな生活を立て直すための費用となるものと考える方がよいです。
全然ないよりはいいですが、結局それだけでは足りず、家を建て直したり新たな新居を構えるにはさらにお金はかかります。
地震保険に上乗せ特約という形で、最大で同様の家を新築できる額を保証できるものもあります。
もちろん保険料はその分高額になります。
南海トラフ地震の発生は?日ごろからの備えを!
南海トラフ地震は、いつ起こるのでしょうか?
政府の地震調査委員会は30年以内の発生確率を70〜80%としていますが、明日起こるのか、30年後起こるのかで全然違います。
そもそも地震の予測なんてできるのでしょうか?
気象庁HPで確認してみると、以下のような文章がありました。
南海トラフ地震の発生は予測できるのですか?
南海トラフ地震は、おおむね100~150年間隔で繰り返し発生していることが分かっていますが、その発生間隔にはばらつきがあり、震源域の広がり方には多様性があることが知られています。また、地震の発生時期や場所・規模を確度高く予測することは困難であると考えられています。
そのほかにもいろいろ書いてありましたが、地震は予測することは難しいし、南海トラフ地震が起こる前に異常な現象が観測されるかもしれないし、観測されないかもしれないとのことです。
日本は地震国であり、地震が起こらない場所はないといっても過言ではありません。
日ごろからの備えが大切です。
今回のブログが皆様の何かしら参考になればと思います。
不動産の悩みやトラブル、相続については、ワンダーランドにご相談ください。
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