不動産の登記って本当に信頼できる?「公示力はあっても公信力はない」ってどういうこと?
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
今回は、不動産に関する基礎的な知識の一つである「登記」について解説していきます。
特に、「登記には公示力はあっても公信力がない」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、これが一体どういう意味なのか、そして不動産取引を行う上でどのような点に注意すべきなのかを、分かりやすくお伝えしたいと思います。
1. 不動産の「登記」ってそもそも何?
不動産の「登記」とは、その不動産が「誰のものなのか」や「どのような権利が設定されているのか」を公的な帳簿(登記簿)に記録しておくことを指します。
不動産には「土地」や「建物」がありますが、これらは非常に高額な資産であり、また一度売買すると長期的に利用されるものです。
このため、その不動産が一体誰に属するものなのか、また抵当権などの権利が設定されているかを明らかにしておく必要があります。
日本では、法務局が「登記簿」という公的な記録を管理しており、不動産の所在地に対応する法務局でその情報を確認できます。
登記簿には、「登記事項証明書」と呼ばれる証明書として記載内容を取り出すことが可能です。
この書類を活用することで、不動産取引を行う際に相手が本当に所有者であるかを確かめる手がかりを得ることができます。
2.「公示力」と「公信力」って何が違うの?
不動産の登記には「公示力」と呼ばれる性質があります。
「公示力」とは、登記情報を誰でも閲覧できる状態にあることで、「この不動産は誰が持っているのか」を社会に向けて示す力のことです。
たとえば、Aさん名義の土地であれば、その土地の登記簿を見れば「所有者:Aさん」という情報が記載されており、基本的に誰でも法務局で手数料を支払えばその情報を確認できます。
これが「公示力」です。
一方で「公信力」というのは、登記の記載内容が「たとえ事実と違っていても、その記載を信じた人が法的に保護される」ことを指します。
公信力がある制度では、登記記録が絶対的な信用を持ち、仮に実際には本当の所有者が別にいたとしても、登記上の所有者を信じて取引した場合、その取引は保護されることになります。
海外の一部の制度では、公信力を持った登記システムも存在します。
ところが、日本の不動産登記制度には「公信力がない」と言われています。
どういうことかと言うと、登記簿に記載されている情報は一般的に正しいと考えられるものの、もし万が一、その記載が真実ではなかった場合、「その記載を信じて取引した人」を必ずしも法的に保護しない、ということなのです。
3.なぜ日本の不動産登記には公信力がないのか
日本の不動産登記制度には歴史的背景や法的な考え方が関係していますが、その理由は大きく以下の3点がしばしば指摘されます。
1. 原始取得や境界不明確性の問題
土地は歴史的に見れば、明確な境界線が必ずしもあったわけではなく、また所有権がどのように始まったか(原始取得)について厳密な証明が難しい場合があります。
日本には長い土地利用の歴史があり、すべての不動産について「絶対的な所有者証明」を行うことは現実的ではありません。
2. 登記の厳格な審査にかかるコスト・時間の問題
仮に公信力を持たせるとなれば、登記所(法務局)は記載内容が完全に正しいかを厳密に調査・確認する必要があります。
しかしそのためには、膨大な人員や時間が必要となり、事実上、日常的な不動産取引の迅速さが損なわれる恐れがあります。
3. 取引の自由と迅速性の確保
公信力を持たせると、「記録どおりであれば無条件に取引を保護する」という強い制度設計になりますが、これにより本当の権利者が救済されにくくなったり、反対に何らかの詐欺行為があった場合に真実の所有者が不利益を被るケースが増える可能性もあります。
日本では「真実の権利関係」を最終的に重視する方針を取っており、登記情報が事実と異なれば、あくまで真実の所有者を優先しようという考え方が根底にあるのです。
こうした背景から、日本の登記制度は「公示力」はあるものの「公信力」は否定されているのです。
4.実際の取引では、所有者の真偽をどうやって確認するの?
「登記に公信力がない」と言われると、
「それでは買主はどうやって相手が本当の所有者か確認するの?」
と不安になるかもしれません。
実務では、以下のような手段で確認が行われます。
• 登記簿謄本(登記事項証明書)の確認
現在の名義人が誰なのかを確認します。また、抵当権や仮登記など別の権利関係も確認します。
• 本人確認資料の確認
売主本人の身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)を確認します。
また、その人が本当に登記上の所有者と同一人物であるか、場合によっては印鑑証明や住民票などの公的書類も精査します。
• 権利証(登記識別情報)の確認
従来の「権利証」(登記済証)や現在の「登記識別情報」を確認して、本当にその不動産の処分権限を持っているかをチェックします。
• 実務家による調査
不動産会社や司法書士が周辺関係者や近隣住民、場合によっては関係役所に問合せを行い、真実性を裏付けることもあります。
また、買主側は、契約時には多くの場合、「司法書士」などの専門家を介して名義変更(所有権移転登記)を進めます。
司法書士は、書類の真偽や当事者の同一性確認などを通じて、不正な取引を防ぐためのゲートキーパー的な役割を果たします。
5.不動産売買を安全に進めるためのポイント
不動産売買は多くの人にとって人生で大きな取引です。
だからこそ、安全性や信頼性を確保するためのポイントを押さえておきましょう。
1. 信頼できる不動産会社を選ぶ
不動産会社は単なる仲介者ではなく、買主・売主を適切にサポートする役割があります。
会社としての実績、口コミ、担当者の知識・経験、対応の丁寧さなどを基準に選ぶと安心です。
2. 司法書士に依頼する
売買契約時や決済時、司法書士は登記関係の専門家として立ち会います。
書類の確認や登記手続きは司法書士が行うため、信頼できる司法書士がいると取引がスムーズで安全になります。
3. 権利関係・境界などの事前調査
面倒に思えるかもしれませんが、購入前にできるだけ登記簿謄本を取り寄せる、地積測量図や公図を確認する、周辺環境をチェックするなど、実務的な事前調査は後々のトラブルを防ぎます。
不動産会社が行う部分が大きいため、しっかりと調査をしてくれる会社を選びましょう。
4. 所有者本人との直接対話
売主と直接コミュニケーションを取り、所有経緯や利用状況、近隣との関係などをヒアリングすることで、怪しい点がないかチェックします。
基本的には不動産会社(仲介会社)を通して確認を行うことが多いかと思います。
不動産会社が売主をしっかり把握している場合は、信頼できる要素になります。
6.登記制度と今後の展望
近年、デジタル社会の進展に伴い、不動産登記制度にも変化が起きつつあります。
オンラインで登記情報を閲覧できるサービスが充実し、書類の電子化も進んでいます。
さらに、ブロックチェーン技術などを活用した所有権情報の管理・証明手段が検討されており、将来的にはより信頼性と透明性を兼ね備えたシステムが構築される可能性もあります。
また、2024年4月から相続登記の義務化が始まりました。
さらに、2026年4月からは住所変更登記も義務化され、これに違反すると罰則が科される可能性があります。
この改正によって、不動産の所有者情報の更新が進み、現在よりも登記情報の正確性が向上することが期待されています。
しかし、現行制度が直ちに公信力を持つようになるとは限りません。
日本では長年、「真実の権利関係」を重視する理念が確立されています。
したがって、公信力を与えるといった抜本的な制度変更には慎重な検討が必要となるでしょう。
今後も、不動産会社や司法書士などの専門家による確認作業は重要なままと考えられます。
7.知識を身に付けて安心・安全な不動産取引を
不動産登記には「公示力はあっても公信力はない」――この言葉は最初は少し難しく感じるかもしれません。
しかし、要点は「登記簿の記載は基本的に正しいと考えられるが、万が一誤っていた場合、その情報に踊らされた買主が必ずしも保護されるわけではない」ということです。
つまり、最終的には「真実の権利関係」が重視されるということです。
では、こうした制度下で私たちができることは何でしょうか?
それは、しっかりと調査を行い、専門家の助けを借りて、安全な取引を目指すことです。
公信力がないからといって過度に不安になる必要はありません。
実務的には、司法書士や不動産会社が慎重に登記や書類の確認を行いますし、一般的な売買では特別な問題が生じることはまれです。
大切なのは、基礎知識を持ち、自分自身が「どんなチェックをするべきか」を理解し、信頼できる不動産会社や専門家に依頼することです。
そうすることで、不動産を「安心して買う」「安心して売る」ことが可能になります。
もし、これから不動産の購入や売却を検討されている方がいらっしゃれば、ぜひ一度、ワンダーランドにご相談ください。
皆様の大切な資産を守り、スムーズな取引をサポートするために、誠心誠意お手伝いいたします。
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