中東の緊張が、日本の不動産にも影響している。遠い話ではない理由
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
2026年2月末、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃に踏み切りました。
世界の原油供給の約2割が通過するホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となり、原油価格は一時1バレル120ドル近くまで急騰しました。
「中東の話だから、自分には関係ない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし日本は原油輸入の約94%を中東に依存しています。
原油価格の上昇は、私たちの暮らしのさまざまな場面に影響をおよぼします。
そして不動産業界も、その例外ではありません。
今回は、中東情勢と原油価格の変動が、不動産にどのような影響をもたらすのかを、できるだけ分かりやすく整理してみたいと思います。
1.なぜ中東情勢が日本に影響するのか
日本はエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っています。
原油の輸入先の約94%が中東地域であり、そのタンカーの約8割がホルムズ海峡を通過しています。
ホルムズ海峡はペルシャ湾とインド洋を結ぶ細い水路で、世界の原油供給の約2割がここを通ります。
紛争によってこの航路に支障が生じると、日本への原油輸送がたちまち滞ります。
2026年3月の時点では、原油価格(WTI先物)が攻撃前の1バレル67ドル程度から120ドル近くまで上昇しました。
これは約80%近い急騰です。
原油は、ガソリンや電気・ガスのエネルギー源というだけでなく、プラスチック・塗料・接着剤・合成繊維など、さまざまな製品の原材料でもあります。
原油価格が上がれば、こうした製品すべてのコストが押し上げられます。
そして建設業も、その大きな影響を受ける業界の一つです。
2.建設コストへの直撃
建物を建てるには、多くの資材と燃料が必要です。
鉄鋼・アルミ・セメントなどの製造には大量のエネルギーが使われます。
また、塗料・接着剤・防水材・断熱材などは石油を原料とする製品が多く、原油価格の上昇がそのままコスト上昇につながります。
さらに、資材を運ぶ輸送コストもガソリン価格の上昇と連動して上がります。建設現場で使う重機の燃料費も同様です。
実際、建設業界では2026年2月の時点で「原油高の影響がすでに出始めている」という声が上がっており、業界団体のトップからも「建設費への影響が避けられない」との懸念が示されています。
こうしたコスト増が進むと、建設会社の経営を直撃します。
価格転嫁ができない事業者から倒産が増えるリスクも指摘されており、2026年2月には建設業の倒産が増加傾向にあるという報告もあります。
3.新築住宅の価格がさらに上がる可能性
建設コストが上がれば、その分は最終的に住宅価格に転嫁されます。
もともと、資材費や人件費の高騰によって新築住宅の価格はここ数年で大きく上昇しています。
東京23区の新築マンションは平均1億円を超える水準にまで達しており、一般的な収入の方には手が届きにくい状況が続いています。
そこへ原油価格の上昇が重なると、さらなる価格上昇の圧力がかかります。
「今が買い時か、もう少し待つべきか」という判断が難しくなる局面でもあります。
一方で、新築住宅の価格が上がると、相対的に中古住宅の需要が高まる傾向があります。
「新築は高すぎる。中古でリノベーションを」という選択肢を検討する方が増えることは、中古市場にとってはプラスの側面もあります。
4.住宅ローン金利への間接的な影響
原油価格の上昇は、物価全体を押し上げる力があります。
ガソリン代、電気代、食料品など、生活に関わるあらゆるものの価格が上がると、インフレが加速します。
インフレが続く局面では、中央銀行が金利を引き上げる方向で動くことがあります。
日本ではすでに2024年以降、日銀が段階的な利上げを進めています。
そこへ原油価格の上昇によるインフレ圧力が加わると、さらなる利上げが促される可能性があります。
住宅ローンの変動金利は日銀の政策金利と連動しやすいため、今後の金利上昇リスクはこれまで以上に意識しておく必要がありそうです。
また、原油高による貿易収支の悪化が円安を招くという見方もあります。
円安は輸入物価をさらに押し上げ、インフレと金利上昇の連鎖につながる可能性があります。
5.不動産取引への心理的な影響
経済の不透明感が高まると、人は大きな意思決定を先送りする傾向があります。
住宅購入は人生最大の買い物の一つです。
「今後どうなるか分からない状況では、購入を急ぐのは怖い」と感じる方が増えると、不動産の成約件数が落ちることがあります。
一方で、相続や売却を検討しているオーナーにとっては、「今のうちに動いておいた方がよいか」という判断が難しくなります。
過去の事例を見ると、中東情勢に起因する原油価格の急騰は、長期化しないケースも多くありました。
ただし、今回の情勢がいつ収束するかは見通し難く、専門家の間でもシナリオが分かれています。
「早まらず、ただし情報から目を離さない」という姿勢が、今の局面では大切なのかもしれません。
6.では、不動産オーナーはどう考えればよいか
中東情勢の行方は、私たちには予測できません。
ただ、こうした外部環境の変化が不動産にどのような影響をもたらすかを理解しておくことで、いざというときの判断の助けになると思います。
すでに物件を所有されているオーナーの方にとっては、修繕やリフォームのコストが上がっていく可能性があります。
計画している工事があれば、早めに見積もりを取っておくことも一つの選択肢です。
また、売却を検討している方にとっては、建設コスト上昇による新築価格の高止まりが、中古物件の需要を底上げする側面もあります。
購入を検討している方にとっては、金利動向と物件価格の両方を注視しながら、無理のない資金計画を確認しておくことが大切です。
どの立場であっても、「今、世界で何が起きていて、それが自分の不動産にどうつながるか」を意識しておくことが、長期的な視点では大きな差を生むと感じています。
7.まとめ
中東情勢と原油価格の上昇は、遠い国の出来事のように見えても、日本の不動産市場にじわじわと影響をおよぼします。
建設コストの上昇、新築住宅のさらなる価格上昇、住宅ローン金利への波及、そして取引の心理的な萎縮——これらは、原油価格の上昇が連鎖的に引き起こす変化です。
情勢がいつ落ち着くかは誰にも分かりません。
ただ、こうした変化のメカニズムを知っておくことで、ニュースを見るときの視点が変わります。
「世界の動きを、自分の不動産と結びつけて考える習慣」が、これからの時代には必要になってくるのかもしれません。
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