【後編】親が認知症になったら、不動産はどうなるのか~成年後見と家族信託の違い~
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
今回は、認知症になった後でも使える「成年後見制度」と、なる前に準備しておく「家族信託」「任意後見制度」の仕組みを整理します。
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1. 認知症になった後に使える制度
すでに判断能力が低下している場合に利用できるのが「法定後見制度」(成年後見制度)です。
家庭裁判所に申立てを行い、裁判所が選任した「成年後見人」が本人に代わって不動産の売却・管理などの法律行為を行います。
申立てから後見人が選任されるまで、通常2〜4ヶ月程度かかります。
申立てにかかる費用は、収入印紙・鑑定費用(必要な場合)・専門家への依頼費用などを合わせると、数万〜30万円程度が目安です。
後見人が専門家(弁護士・司法書士など)に選任された場合、月額3万〜6万円程度の報酬が継続的に発生します。
2. 法定後見制度のデメリット
法定後見制度には、いくつかの大きなデメリットがあります。
一つ目は、後見人を家族が選べないことです。
家族を後見人候補として申し立てても、裁判所が専門家を選任することがあります。
特に財産が多い場合は弁護士や司法書士が選ばれる傾向があります。
二つ目は、一度開始すると原則として途中でやめられないことです。
本人が亡くなるまで続くため、長期間にわたって報酬が発生し続けます。
三つ目は、財産の活用が制限されることです。
後見人は本人の財産を「守る」ことが主な役割のため、相続対策のための生前贈与や不動産の組み換えなど、積極的な財産活用は難しくなります。
3. 認知症になる前に準備できる制度①
任意後見制度とは、本人が元気なうちに「将来、判断能力が低下したときに後見人をお願いしたい」という人を自分で指定し、公正証書で契約しておく制度です。
法定後見と違い、後見人を自分で選べることが最大のメリットです。
信頼できる家族や知人を指定しておくことができます。
ただし、任意後見も家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任する必要があり、監督人への報酬が発生します。
また、後見が始まると一定の制約が生じる点は法定後見と共通です。
4. 認知症になる前に準備できる制度②
家族信託とは、本人(委託者)が元気なうちに、信頼できる家族(受託者)に財産の管理・処分の権限を移しておく仕組みです。
例えば、「父(委託者)が自分の不動産を息子(受託者)に信託し、父(受益者)がその利益を受け取る」という形で設定します。
信託した後は、父が認知症になっても、息子が信託契約の範囲内で不動産の売却・管理を行うことができます。
家族信託の手続きには、公正証書の作成と不動産の信託登記が必要です。
司法書士や弁護士などの専門家に依頼する場合、費用は財産の規模や内容によって異なりますが、数十万円程度が目安です。
5. 家族信託のメリットと注意点
家族信託の主なメリットは次のとおりです。
◎ 認知症になった後も、受託者(息子など)が不動産を動かせる
◎ 家庭裁判所の関与がなく、家族の判断でスムーズに動ける
◎ 毎月の後見人報酬が不要(家族が受託者の場合)
◎ 相続対策のための財産活用も継続しやすい
一方、注意点もあります。
家族信託は設定できる内容が複雑で、専門家なしでの手続きはリスクがあります。
また、家族信託自体には直接の節税効果はありません。
信託の設定に費用がかかること、信頼できる受託者が必要なことも念頭に置く必要があります。
6. どの方法を選ぶか
【すでに認知症と診断されている場合】
法定後見制度(成年後見制度)一択になります。
早めに申立てを進めることが重要です。
【まだ元気だが将来が心配な場合】
家族信託または任意後見制度を検討します。
不動産の管理・売却をスムーズに行いたい場合は家族信託が向いています。
【どの制度が合うか分からない場合】
家族の状況・財産の規模・信頼できる家族がいるかどうかなどによって最適な方法が変わります。
司法書士・弁護士などの専門家、または不動産会社に相談しながら方向性を決めることをお勧めします。
「親が認知症になりそうで不安」「すでに認知症だが実家をどうすべきか分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
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