兄弟姉妹間での不動産の贈与・売買
不動産・相続について勉強中の、ワンダーランドMAIMAIです。
私には兄がいます。
もし兄が、
「僕の家をMAIMAIにあげるよ。名義変更しておくから、後は好きに使って。」
と言ってきたらどうでしょうか?
「ありがとう、お兄ちゃん太っ腹!」
とでも言って、気が変わらないうちに遠慮なく受け取りたいところですが、そんなことは国税庁が黙ってません。
家族間のやりとりくらい好きにしていいんじゃないの?
と考え、安易に名義変更すると、贈与税の負担が重くのしかかってくる可能性があります。
兄弟(姉妹)間で、不動産を渡したいと仮定します
この、兄から私への不動産の贈与は、完全な作り話ですが、話をわかりやすくするために具体的に話を作ります。
・両親は健在、兄名義の不動産は相続を受けたものではない
・新築の分譲マンションを兄の名義で2年前に4,200万円で購入
・マンションの現在の相場価格は6,000万円
・相続税評価額は4000万円(土地は路線価から、建物は固定資産税評価額で計算)
・MAIMAIは今年他の人から贈与を受けていません
・兄はマンションをMAIMAIに渡した後、別のマンションに引っ越す予定
このマンションを兄はどうにかしてMAIMAIの名義にしたいと考えているようです。
どのような税金がかかってくるのでしょうか。
兄弟間で、不動産の名義変更をするには、贈与と売買が考えられます。
このふたつに分けて、考えてみます。
不動産を贈与される(無料でもらう)場合
贈与の場合は贈与税がかかります。
贈与税の税率は累進課税といって、贈与を受けた金額が多くなるほど税率が高くなる仕組みになっています。
現在(平成27年以降)贈与税の税率は、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されています。
「特例贈与財産」となるのは、祖父から孫への贈与、父から子への贈与など、直系尊属からの贈与により18歳以上の者が財産を取得した場合です。
「一般贈与財産」は、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合など、特別贈与財産に当たらないときに適応されます。
と言うことで、兄弟姉妹間は、「一般贈与財産」となります。
一般贈与財産にかかる税率の速算表です。(出典:国税庁HP)
特別贈与財産用の速算表も載せておきます。
特別贈与財産の方が、税率が低く、控除額も大きいです。
直系尊属からの贈与は、比較的受けやすいようにされているのですね。
一般贈与財産の速算表にマンションの価額を当てはめて計算します。
贈与税の計算において、その不動産の価額の評価は何で決まるのでしょうか?
国税庁のホームページを調べると、
*負担付贈与あるいは個人の間の対価を伴う取引により取得した土地や家屋等について贈与税を計算するときは、通常の取引価額によって評価します。
とあります。
なので、何の負担もなく贈与するときは、土地は路線価方式もしくは倍率方式での評価、家屋は固定資産税評価額と同じ額の評価となると考えられます。
マンションの条件によりますが、現物の相場価格の50%から70%程度の評価になることが多いです。
基礎控除とは、年間受け取る贈与のうち110万円までは、控除され贈与税がかからないというものです。
複数の人から贈与を受けた場合は、贈与者ごとに110万円ではなく、受贈者つまりもらう人1人につき110万円までです。
MAIMAIは今年他に贈与を受けていないので、基礎控除後の課税価格は、マンションの価額から110万円を差し引いた額になります。
実際に計算してみます
これで必要な数字や知識がそろったので、実際に計算してみます。
兄から贈与を受けたとして、速算表で計算すると
基礎控除後のマンションの価格は、4000万円-110万円で3,880万円となります。
速算表で3,000万円超では55%の税率です。
3,880万円×55%=2,134万円
そこから速算表の控除額 400万円を控除し、1,734万円
速算表から計算すると、1,734万円の贈与税がかかります。
兄から不動産をもらっただけなのに、国に1,734万円払うことになります。
税金は現金納付が基本です。
1,734万円用意しないといけません。
預貯金も含め手元にお金がなければ、別の財産を手放してお金を用意するのか、生命保険を解約するのか、株式を処分するのか、タダでマンションがもらえると思って喜んでいたのに、とんでもない出費が発生します。
売買契約を行った場合
「贈与税がかかっちゃうから、100万円で売ってあげるよ」
こんな場合はどうなるのでしょうか。
相場より大幅に安く売買した場合、その売買は「みなし贈与」とされ、贈与税の課税対象になります。
相場が6,000万円の物件を100万円で譲渡すると、5,900万円が贈与とみなされます。
"不動産を贈与される場合”の章で不動産の価額の評価について書きましたが
*負担付贈与あるいは個人の間の対価を伴う取引により取得した土地や家屋等について贈与税を計算するときは、通常の取引価額によって評価します。
とありますので、通常の取引価額によって贈与税が計算されます。
親族間売買は、あまり実例もなく難しいのですが、他社のHP等の情報から調べたところ、親族間売買での適正価格の目安は、相場の8割程度でしょう。
なので、今回のマンションの場合、4800万円以下での売買契約では、税務署はみなし贈与と判断することでしょう。
100万円で購入したとすると、5,900万円がみなし贈与とされ、速算表で計算すると、2845万円の贈与税が課されます。
財産の贈与は簡単にはできない
財産の贈与は簡単にはできないようにされているのですね。
それは万が一ばれたときの話で、大丈夫じゃない?世の中たくさん不動産のやりとりがあるわけだし。
そんな風に考えたくもなりますが・・・
親族間売買は、贈与税逃れなどの脱税行為を疑われ、通常の売買に比べ税務署に不正を厳しくチェックされます。
誰かが言っていました。税務署はヤ○ザよりも怖いと。
適正価格で買ったふりをして、実際はタダでもらったとしたら、
売買契約書、領収書、実際のお金の動きがあるのか、しっかりと調査され、不正なことをしていると、ばれるでしょう。
物件の譲渡を受け、贈与税として国に約1,700万円納める。税金は現金での納付なので、手元にキャッシュがないと無理。
親族間売買の適正価格ギリギリの5,000万円で兄と売買契約をして、6,000万円の物件を少し安く手に入れる?
いやいや、5,000万円なんで用意できないし。
親族間売買はローンが通りにくいって聞くしなあ。
余談ですが、この場合4,200万円で買ったマンションを5,000万円で売った兄には、譲渡益が出ます。これは課税対象でしょうか?
マイホームの特別控除(マイホームを売ったときに最高3,000万円まで譲渡所得が控除できる)は、
「(6)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。」
という条件があり、兄弟であるMAIMAIとの売買に適応できるか、国税庁のホームページの文章を読むだけでは、はっきりとは分からなかったので、問い合わせてみました。
もし、私と兄が生計を一にしていたり、兄にから買った家にその後兄と私が住む場合は、この特別な関係に当たり、3,000万円の譲渡所得控除が適応されないそうです。
その時の課税額は、5年以内の短期譲渡のため、譲渡益の約40%の所得税(800万円の40%で320万円)がかかります。
今回の例では、兄はMAIMAIにマンションを渡したら、引っ越す予定ですし、兄とは別生計ですので、3,000万円の譲渡所得控除を使うことができます。
譲渡益から税金を取られることは免れそうです。
いろんな制度が関わってきてややこしいですね。もう名義はいらないから、使用貸借という形で住ませてもらおうかな?
もちろん水道光熱費や固定資産税は私が払うので。
私にとっては非現実的な話ですが、考えているうちに訳がわからなくなってきましたので、このあたりで締めたいと思います。
結論!大きなお金を動かすと、税務署が黙ってない。国はお金があるところからしっかりととります!
名義の変更をする前に、ご相談ください!
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